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清掃工場だより8月号

 アンモニアと言えば、理科の実験で鼻にツーンとくる臭いを覚えている方も多いと思います。身近なものでは虫に刺されたときに塗るキンカンのあの臭いです。
 そのアンモニアは多摩清掃工場でも大活躍しています。10m3の大きいタンク2つにアンモニアを保管し、廃棄物を焼却する際に発生する窒素酸化物の除去に使用しています。窒素酸化物は光化学スモッグや酸性雨の原因となる物質と言われていますが、燃焼によって空気中の窒素と酸素が結合することで発生するため、抑制するのが難しく、多摩清掃工場では排ガス処理設備である脱硝反応塔内の触媒とアンモニアを使って除去しています。

 最近、そんなアンモニアが燃やしても二酸化炭素を生じないことで注目されています。発電所の燃料である石炭や天然ガスをアンモニアと置き換えることで、二酸化炭素の排出削減が期待されています。
 窒素酸化物の除去に二酸化炭素の排出削減、肥料に虫さされにも・・・、何だか私が記憶している鼻にツーンとくる臭いのアンモニアのイメージが大きく変わっている今日この頃です。地球温暖化対策の有効な手段として、再生可能エネルギーを用いて製造するカーボンフリーのアンモニアに大いに期待したいと思います。