多摩清掃工場二期施設建設工事の入札談合に係る経過

 

【概要】

●住民訴訟

平成12年5月8日に出された住民監査請求から住民訴訟が起こされ、平成19年4月24日に最高裁判所において、被告日立造船㈱の上告を棄却する決定がありました。
この裁判の確定を受け、日立造船㈱は損害金及び遅延損害金合わせて18億6,573万3,957円を同月8日に多摩ニュータウン環境組合に納付しました。
組合は、平成20年第1回多摩ニュータウン環境組合定例議会において「損害賠償金管理基金条例を制定し、納付された損害金の管理を行いました。

 

●民事訴訟

平成21年2月6日に住民訴訟の原告代理人弁護士より、原告との委託契約の基づく弁護士報酬の支払いを組合に求める民事訴訟が提起され、平成23年2月25日に和解が成立し、組合は原告に5,500万円を支払いました。

 

●損害賠償請求訴訟

平成23年8月24日に組合が日立造船㈱に対し和解金相当額の5,500万円の支払いを求め損害賠償請求訴訟を提起しました。
平成25年12月25日に日立造船㈱が組合に対し5,500万円に遅延損害金770万円を支払うことを命じる判決が出され、平成26年4月1日までに、日立造船㈱から組合に対し、6,270万円及び事務の実費相当額として52万8,100円全額が支払われました。                          
 

●賠償金返還

平成26年6月より、施行6者(東京都、独立行政法人都市再生機構、東京都住宅供給公社、八王子市、多摩市、町田市)と返還に関する協議を行い、実費相当分を除く18億7,694万8,165円を出資割合に応じて配分し平成27年8月31日までに返還を完了しました。

 

【詳細】

多摩清掃工場二期施設建設工事(その1)の概要
●工  期 平成6年7月12日~平成10年3月31日
●建設概要 RC造 地下1階地上6階 延床面積13,500平方メートル
●処理能力 400t/日(200t×2基)
●請負業者 日立造船㈱
●契約金額 257億2,940万円(消費税3%込)

 

◇平成11年8月13日 公正取引委員会排除勧告

平成6年~平成10年に地方自治体が発注したごみ焼却施設の入札を巡り、環境組合指名業者と同一5社に対し、談合行為の疑いがあるとして独占禁止法(旧法)違反で排除勧告が行われた。

 

◇平成12年5月8日 住民監査請求

公正取引委員会の排除勧を受け、環境組合発注の入札においても談合があり、落札価格の10%の損害発生と環境組合管理者がその請求権を行使しないことは、財産管理を不当に怠るとの住民監査請求が出された。監査結果では、公正取引委員会で審判中であることから棄却をした。

 

◇平成12年8月4日 住民訴訟提起

これを不服として、原告は、日立造船㈱及び環境組合を被告として8月4日に東京地方裁判所へ住民訴訟の提起がされた。

 

◇平成18年4月28日 東京地方裁判所判決

入札談合により5%相当の損害を認定し、被告日立造船㈱は環境組合へ12億8,647万円と平成10年5月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うことと、環境組合が損害賠償請求の行使を怠る事実が違法との決定がされた。

 

◇平成18年10月19日 東京高等裁判所判決

原判決は相当であり、控訴はいずれも棄却する決定がされた。

 

◇平成18年10月25日 第3回多摩ニュータウン環境組合臨時議会

管理者報告にて上告しない旨を報告し、その後正副管理者会議で決定した。

 

◇平成18年12月21日 損害賠償請求

東京高裁判決を受け日立造船㈱に対し、平成19年1月31日までに支払を求めたが、最高裁判所への上告及び公正取引委員会審決取消訴訟から支払いを拒否された。

 

◇平成19年4月24日 最高裁判所判決

日立造船㈱の上告棄却の決定がされ、住民訴訟の確定がされた。

 

◇平成19年5月2日 損害賠償請求

最高裁判決を受け、5月31日までに支払いを求めた。

 

◇平成19年5月8日 損害金納付

日立造船㈱から5月7日に環境組合指定口座に遅延損害金を合わせた18億6,573万3,957円の振込がされ、8日に納付を確認。

 

◇平成19年5月15日 指名停止

損害金の納付を受け、談合による不正な入札であったと認められることから、本件指名業者5社のうち、競争入札参加資格がある日立造船㈱、㈱タクマ、川崎重工業㈱を平成19年5月15日から登録期限である平成20年3月31日まので間指名停止とした。また、本件指名業者5社を平成20年・21年度の競争入札参加資格を有さないものとした。

 

◇平成19年5月24日 弁護士報酬請求

原告代理人弁護士より、原告との委託契約に基づく弁護士報酬として1億2,054万円の請求あり。

 

◇平成20年3月31日 原告代理人弁護士へ回答

原告代理人弁護士へ請求に対する支払いには応じることができない旨の回答を送付。

 

◇平成21年2月6日 民事訴訟提起

原告から、多摩ニュータウン環境組合を被告として東京地方裁判所に対して民事訴訟が提起された。

 

◇平成22年2月

環境省より「廃棄物処理施設整備費国庫補助金」等の返還指示。

 

◇平成22年8月

環境省より「環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部所管補助事業等における談合等の不正行為に係る違約金等の返還手続き」の事務連絡。(返還金の算出式等)

 

◇平成23年2月25日 和解成立

平成21年4月17日から13回の口頭弁論等を経て、裁判所からの和解勧告に基づき、平成23年2月15日に開催された多摩ニュータウン環境組合定例議会において、原告に5,500百万円を支払う議案が議決され、原告側と和解が成立した。

 

◇平成23年4月26日 損害賠償請求

多摩ニュータウン環境組合から、日立造船㈱に対して和解金相当額5,500百万円の損害賠償請求を提起する。

 

◇平成23年5月18日 支払拒否回答

日立造船㈱より、請求には応じられない回答あり。

 

◇平成23年8月24日 損害賠償請求訴訟提起

平成23年7月20日に開催された多摩ニュータウン環境組合臨時議会において、議案「訴えの提起」議決の後、東京地方裁判所に日立造船㈱を被告として損害賠償請求訴訟を提起。

 

◇平成25年2月18日 損害賠償請求棄却

8回にわたる口頭弁論の後、東京地方裁判所では地方自治法の住民訴訟に関する弁護士費用については、談合を起こしたプラントメーカーに求償する法的根拠がないとの理由から多摩ニュータウン環境組合の損害賠償請求は棄却された。

 

◇平成25年3月1日 東京高等裁判所に控訴

東京地方裁判所の判決に対して、住民訴訟の結果発生した弁護士報酬の和解金は、第二期施設工事の際に行われた入札談合が原因であり、この不法行為に基づく損害として損害賠償請求する法的因果関係は成立するとの主張を元に東京高等裁判所に控訴。

 

◇平成25年12月25日 東京高等裁判所判決

東京高等裁判所にて、控訴理由は正当であるとして、1審判決を棄却し、被控訴人日立造船㈱が本組合に対して5,500百万円に遅延損害金770百万円を含めた金員を支払うこと判決が出される。

 

◇平成26年1月10日 損害金納付

日立造船㈱から1月10日に環境組合指定口座に遅延損害金を合わせた6,270万円の振込がされ、15日に納付を確認。

 

◇平成26年4月1日 実費相当額納付

日立造船㈱から4月1日に環境組合指定口座に実費相当額52万8千百円の振込がされ、4日に確認。

 

◇平成26年6月2日 多摩ニュータウン環境組合と施行者との返還協議開始

日立造船㈱から支払われた損害賠償金等については、多摩ニュータウン環境組合の財産とするのではなく、工事費を出資した施行者へ返還するべきとの考えから、施行6者(東京都、独立行政法人都市再生機構、東京都住宅供給公社、八王子市、多摩市、町田市)への返還に関する協議を開始。

 

◇平成27年6月11日 施行者との協議終了

損害賠償金、遅延損害金、実費相当、預金利子の合計額について、裁判手続きや基金管理等実費相当の一部を除き18億7,694万8,165円を出資割合に応じて返還することで合意。

 

◇平成27年8月31日 すべての返還が完了